麻酔科-くろねこBlog

麻酔科医と子育てとか日々の学び

子供が熱を出した時には・・・?

先日、娘が10ヶ月になり始めて38℃台の発熱をしました。

鼻水がダラダラ、咳をしていたので風邪(急性上気道炎:ウイルス性)だったのですが、症状が辛そうだったので病院で薬をもらって対応しました(気管支拡張のホクナリンテープと解熱剤のアンヒバ座薬)。

 

簡単に小児の発熱の対応についてまとめてみました。

 

 

 

 

赤ちゃんは生まれて6ヶ月までは母親の免疫があるので滅多に熱をだしません。

逆に言うと生まれて3ヶ月以内に発熱をする場合は髄膜炎など危険な感染症をきたしていることがあるため早急に医療機関を受診し採血などの検査をして危険な状態でないことを確認する必要があります(意外にただの風邪であることもありますが危険でないことをしっかり調べることが必要です)

 

ある程度大きくなってくると保育園や支援センターにいくことになるので風邪の子供と接触する機会が増えてくるので熱を出す可能性が高くなります。特に生後6ヶ月以降はいつでも発熱する危険があるということです。

一般的に6ヶ月以降の発熱は急性上気道炎(いわゆる風邪)といわれるものがほとんどで症状としては咳や鼻水などです。原因となるのはRSウイルスなどウイルス性のものがほとんどです。

今の医学ではウイルスによる風邪を治す薬はありません。病院でもらう薬は対症療法つまり鼻水が出たら鼻水を止める薬、熱がでたら熱を下げる薬が処方されるだけで風邪を治しているわけではなく、自然に子供の免疫力が風邪ウイルスを倒すのを待つしかないです。風邪を早くするにはしっかり子供の体調を整えてあげることが重要で、ちゃんとした水分摂取と暖かい適度な温度、十分な睡眠などの環境を提供させてあげることが必要です。

 

つまり上気道炎になった場合には病院に行く目的としては咳が辛そうだから止めてあげよう、熱が出て辛そうだから解熱剤をもらおうということになります。

しかしながらなんでも薬を使えば良いと言うわけではなく、咳を止めると言うことは正常な時には体からばい菌を出すための防御機能を止めることになりますし、解熱させると言うことは体の免疫がしっかり働く温度ではない状態を作ってしまうと言うことになるので風邪が治るのが少し遅くなってしまう可能性がないとは言い切れません。

そのため風邪が治るのが少し遅くなるか、それとも今の辛そうな状況を緩和してあげるかという天秤にかけて薬を使うか使わないかを考えることになります(これが薬を出す医者がいるのと、薬を出さない医者がいる所以です)。

 

さて子供の発熱は大したことがないように書きましたが、次のような注意することがあります。

①3ヶ月以内の発熱

②尿が汚い

③ぼーっとしていて水も母乳もほぼ飲めていない

 

 

①3ヶ月以内の発熱

についてはさきほども述べた通り髄膜炎など強力な細菌(ウイルスではない)による感染症重篤化する可能性があります。母親の免疫があるにも関わらず抑えられないような感染症があるということです、早急に医療機関を受診する状況です。

 

②尿が汚い

小児で注意することでもう一つあるのが尿路の感染症です。いわゆるおしっこの感染症です。これは進行するとおしっこのばい菌が血液の中を回る「敗血症」といわれるような状況になり得るからです。日々オムツのおしっこの色や量が減っていないかなど確認する必要があります。

 

③ぼーっとしていて水も母乳もほぼ飲めていない

 最後に重要なのは水を飲めているか否かです。水を飲めているようであれば大抵の場合脱水症になることがないので大丈夫です。救急外来を夜間受診すると、かならず水を飲めているか聞かれると思います。これは大抵の場合、飲水ができていれば問題ないから私たち医療従事者は聞きます。つまり水も飲めていない意識状態もぼーっとして普段と違うとなると赤信号、すぐに医療機関を受診する必要があります。

 

 

 

まとめると

①6ヶ月より前の発熱は危険な病気の可能性がある

②大抵の風邪はウイルス性なので自然に治るのを待っても良い。ただ症状が辛そうでいまなんとかしたいのであれば、風邪が長引くかもしれないが薬を使うことはできる

③水が飲めていれば大抵の場合は大丈夫。ただしおしっこが汚かったりする場合は、おしっこの細菌感染症の可能性があるので医療機関を受診する方が良い

 

ざっくり自分の子供が熱を出したのでまとめてみました。質問などありましたら気軽にコメントください。では。