腹腔鏡下胆嚢摘出術の麻酔
腹腔鏡下胆嚢摘出術、 通称 LapーC、ラパこれ。
初期研修医が当たる。意外と考えることがたくさんある良い経験になると思います。
特徴は
①腹腔鏡を使うので気腹をすること
②胆嚢にアクセスするのでヘッドアップの体勢をとること
ライン:V1本で十分なことが多い(合併症次第)
気道確保方法:挿管(ラリマでやる施設もあるが一般的には挿管、誤嚥のリスクあるため)
特徴:
臍に加えて2−3のポートを開けて手術を行う。傷口自体はそこまで大きく無いので術後鎮痛はそこまで必要になることはないが施設次第。
腹腔鏡でやるので気腹を行う。気腹を行うと腹腔内圧が上昇するので横隔膜が下がりにくくなり肺が膨らみにくくなる。 VCVで換気をしている場合は気道内圧が高くなることに注意しなければならず、PCVで換気している際は一回換気量が確保されているかを確認する必要がある。ただし Lap-Cの場合はヘッドアップなので、婦人科や株消化管手術のようにヘッドダウンをしないので肺は比較的広がりやすい体位で手術が進行するのでCO2の貯留などストレスになることはすくない。
※気腹はフィルターされたCO2ガスを使用しているのでEtCO2が高くなる
硬膜外麻酔を併用したり、血管拡張系の薬(大体の麻酔薬は当てはまる)、ハイポボリュームである場合、ヘッドアップにより下肢から心臓へ戻る血液の量が減るため(ビーナスリターンVRが減少するため)前負荷減少によって心拍出量が減り血圧が低下する( Alineが入っていれば SVVが増える・波形が揺れる。 SpO2の波形も大きく揺れる)。
などが起こります。
他にも弁膜症がある際は悪化する可能性もあるし、逆に良くなる可能性もある。
気腹圧によって静脈からの出血が圧迫されしにくくなる、IVCよりも圧が高くなると虚脱の可能性があるなどいろいろなことが起こります。
Lap-Cの麻酔は
①腹腔内圧があがるとどうなるか
②ヘッドアップの姿勢をとるとどうなるか
ということを考える上で重要な手術なので楽しんでみてください。