麻酔科-くろねこBlog

麻酔科医と子育てとか日々の学び

PALS(Pediatric Advanced Life Support) 覚え書き👦💓

PALS受講してきたので内容を簡単に・・・

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PALS(小児二次救命措置)プロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015準拠 [ アメリカ心臓協会 ]

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全日程2日間の講義+テスト(実技+筆記)。倒れている小児の対応を学ぶ。

 BLSから始まり、呼吸に問題のある小児、ショックの小児、不整脈の小児の対応を学ぶ。

 

全体の流れとしては

 PAT(第一印象)で患者が危ないかを判断し蘇生が必要かを判断。蘇生が必要でないにしろPATに問題がある(循環呼吸に問題がある)ことが疑われたら直ちに10Lリザーバーマスクをつける。その後1次評価(生命に直結するABCDEの評価)に移る。問題がなければ2次評価(全体的に診察をしていく AMPLEの聴取など)へ移る。

 重要なのは一度アクション(酸素投与・外液負荷など)をしたら必ず再評価(呼吸状態、バイタル、皮膚の状態、ショックの兆候など)を行うこと。

 

[1]PAT(Pediatric Assessment Triangle)

まずは見た目でパッと判断!

①Appearance:意識は?視線が合うか?

②Breathing:呼吸は?陥没呼吸がないか?努力用の呼吸は?

③Circulatory:蒼白?チアノーゼは?

 

直ちに救命処置が必要か?(脈呼吸があるか)

→ Yes ならば1次救命処置(胸骨圧迫+人工呼吸 AED)を直ちに開始する

→ NO

  → PATに問題があるか?(呼吸・循環不全が疑われるか?)

    →  Yes:直ちに10Lリザーバーマスクを一次評価へ

    →  NO:一次評価へ

 

[2]1次評価(生死に直結するABCDEを評価する)

A:Airway(気道)

 開通しているか?呼吸は感じられるか?

 感じられなければ気道を開通させる

→エアフェイ、挿管、気道異物除去、気管切開穿刺など

 

B:Breathing(呼吸)

 呼吸数は正常か?

 努力用呼吸(陥没呼吸)や吸気呼気性喘鳴・ラ音などが認められるか?SpO2は?

吸気喘鳴:上気道に問題(急性喉頭蓋炎、気管の異物、アナフィラキシークループ

呼気喘鳴:下気道に問題(喘息、細気管支炎)

ラ音:肺に問題(肺炎、肺水腫(心不全などが原因))

 

 呼吸不全か呼吸窮迫か?

呼吸窮迫:Bに問題があり、酸素投与が必要な状態

呼吸不全:Bに問題があり酸素投与だけでは良くならない、バックバルブマスク・ジャクソンリースなどによる陽圧換気が必要な状態

 

呼吸不全であれば換気をしてあげる→最悪、呼吸していないことによる低酸素による死亡は防げる

 

C:Circulatiojn(循環)

チアノーゼ・BP・中枢の脈・抹消の脈・冷感・CRTなどを評価する。

どれかに問題があればショックの可能性がある。

ショックであれば代償性ショックか低血圧性ショックかを見分ける。

 

代償性ショック:上記ショックの兆候が認められるが低血圧はまだない状態、増悪する可能性がある。

※低血圧:70+年齢X2mmHg

低血圧性ショック:上記ショックの兆候に加え低血圧が認められる。

 

ショックの原因で一番多いのは循環血液量減少性ショック。この場合、外液を20ml/kg 5-10分で投与する必要がある。ルートが取れなければ骨髄路を確保する。投与したら再評価。

他の原因となる血液分布異常性ショック(神経原性・敗血症など)、閉塞性ショック(PE、タンポ、緊張性気胸)、心原性なども評価する。

 

D:Disability(神経学的評価)

確認するポイントは①瞳孔②血糖③意識状態(AVPU)

低血糖は新生児45mg/dl、小児60mg/dl以下

意識状態はAVPU

Alert:意識清明

Voice:声掛けで反応

Pain:痛み刺激で反応

Unresponsive:反応なし

 

E:Exposure(全身観察)

体温、明らかな外傷、点状出血などを探す。

 

ABCDEの評価が終わりとりあえず死なない状態を維持しつつ2次評価へ移る。

 

[3]2次評価

 SAMPLEの聴取。

S:Signs and Symptoms 自他覚初見:

喘鳴、頻脈、出血、意識レベル、発汗など患者から得られる情報をすべて取りに行く。

問題となっているのがショックであればショックの原因となるものを積極的に絞って取りに行く。

A:Allergies アレルギー

薬、食べ物など。

 M:Medications 薬

 どんな薬を普段飲んでいるのか

 P:Past medical history 病歴

 下痢があったとか、けいれんがあったとか、予防接種の状態とか、今までの病歴を聴取。

 L: Last meal 最終食事

 最後に食べたものは何か、時間は?誤嚥のリスクや手術時にとても重要。

 E: Events イベント

 発症が急速か、緩徐に進んでいるか?現場でどのようなことがあったのか?

 

など一通りの病歴を聴取し、原因を探し出し積極的に治療介入を行っていく。

 

 

全体の流れとしてはこんな感じです。2日ではおそらくテスト時にも1次評価までをしっかり行うことに重きが置かれています。

一次評価をしっかりできれば最悪目の前で突然死になる確率は大きく減ります。

小児、産婦人科領域に関わる人、病棟の急変に対応したい医療関係者にオススメの講習だと思います。

 

 

興味ありましたらぜひ。