初期研修期間と麻酔科標榜医申請
全体として麻酔科の志望者が少なくなっているようなので、麻酔科の数を増やしたいと願いつつ「麻酔科標榜医」という特殊な資格について簡単に解説したいと思います。
・麻酔科標榜医とは?
麻酔科を名乗るには厚生労働省に「標榜医」として認定される必要があります。
医師免許を取った後はクリニックを開いたりする際「形成外科」とか「心臓外科」など自分の好きな科であることを記載することが可能ですが、「麻酔科」だけは名乗れません。
厚生労働省で「標榜医」の資格を取った場合のみようやく「麻酔科」として働くことができるのです。
・標榜医の資格をとるためには?
簡潔にいうと2年間(24カ月間)麻酔の研修をしたのちに厚生労働省に実歴証明書を提出することで認定されます。
認定に必要な基準が2つあり自分がどちらに当て嵌まるかを確認します。
具体的には
①自分の研修している病因が医療機関の該当基準を満たしているかどうかを確認する(下図参照)
②-1 満たす場合、→【基準1】
2年間、週30時間以上の麻酔研修に従事する。
②-2 満たさない場合、→【基準2】
2年間、気管挿管による全身麻酔を300症例以上(主たる担当医として)の麻酔研修に従事する。
それぞれの基準の研修を終了したのち厚生労働省に必要書類を提出すれば認定されます。
・麻酔期間の2年以上とは?
重要なのが2年以上という研修期間の条件です。
厚生労働省(国)の資格というのは厳密なお役所仕事なので研修が1日足りないだけでも認定条件を満たさないため、書類を提出しても受領されません。
重要なのは1カ月はしっかり1カ月ということです。
たとえば
4月1日〜5月1日まで研修した場合は1ヶ月になりますが、
4月1日〜4月28日までの研修の場合は0ヶ月になります(研修していないことになります)
これは初期研修医の期間も含まれるので
施設によっては初期研修のローテーションが4週間(28日)の病院もあると思うのでその場合は標榜医の麻酔研修期間として認められないことになります。
・標榜医はいつとれるのか?
標榜医の書類申請は①5月末、②9月末、③1月末の年3回あります。
通常、初期研修医のローテート期間を終えて後期研修医で麻酔科を選んだ際には、4月から始めて次の年度の3月に24ヶ月の研修を終えることになります。
すると標榜医の申請は麻酔科3年目の5月となり、実際の標榜医認定は8月上旬になります。
・もっとはやく標榜医の資格を取るためには?
通常は上述したように麻酔科3年目の5月に標榜医の資格申請をするのが通常なのですが
実はもっと早く標榜医の資格をとることができます。
それは初期研修期間中に麻酔科研修をおこなうことです。
標榜医の資格申請のための24ヶ月には「初期研修医」のローテート期間も含めることができます。
そのためもし3ヶ月初期研修の2年間の間にローテートした場合には、後期研修の2年目(医者4年目)の1月に標榜医申請を行うことができます。
すると通常よりも4ヶ月ほど麻酔科標榜医の資格を早く取ることができます。
さらに極端な初期研修になりますが、仮に麻酔科研修を初期研修のうちに7ヶ月した際には、後期研修医2年目(医者4年目)の9月に標榜医申請をすることができるため通常よりも8ヶ月はやく標榜医の資格をとることができます。
・おわりに
標榜医の資格を早く取ることにそこまで意味があるかどうかはわかりませんが、麻酔科のならばあって困るものではないので参考にしていただければ幸いです。
標榜医申請に必要な書類については後日またまとめさせていただきます。
●参考までに必要書類です
【基準1・2共通】
(1)麻酔科標榜許可申請書〔別紙第1〕
(2)麻酔科標榜許可書返送用封筒・・・1通(角2封筒(A4サイズ)に送付先(自宅又は勤務先)及び氏名を記載し、205円分の切手を貼付のこと)
【基準1】
(3)麻酔施行経験証明書〔別紙第2〕(各施設毎に作成のこと)
【基準2】
(4)麻酔施行経験証明書〔別紙第3〕(症例日の古い順に記載し、各施設毎に作成のこと)
詳しくは厚生労働省の標榜医申請のページに詳しくありますので参考にしてください。